最近よく耳にする「デジタル地域通貨」。
地域通貨に興味はあるけど、よく分からないという方も多いのではないでしょうか?デジタル地域通貨は、地域経済の活性化に貢献するだけでなく、私たちの生活をより豊かにする可能性を秘めています。
今回は、デジタル地域通貨の基礎知識や導入事例などをご紹介いたします。
デジタル地域通貨とは?
デジタル地域通貨は、特定の地域内で利用できる電子的な通貨のことです。従来の紙幣やコインといった物理的な通貨ではなく、スマートフォンアプリや専用のICカードなどを通じて利用します。
よくある地域クーポン紙幣型地域通貨をデジタル化したものになります。
デジタル地域通貨が注目されるワケ
デジタル地域通貨が注目される理由は、従来の紙幣型からデジタル化へ移行することで、地域通貨のビジネスモデルが大きく変革したことが挙げられます。
デジタル化によって、地域通貨は以下のようなメリットをもたらし、注目を集めています。
1. 地域経済の活性化
地域内でしか使えないため、お金が地域外に流出せず、地域経済の活性化に貢献します。
地域限定の特典やサービスを提供することで、地域の魅力を発信し、消費を促進します。
2. 新たなビジネスの可能性
各種電子マネーやポイントと連携することで、新たなビジネスモデルを創出できます。
配布・使用状況をデータ化し、マーケティングに活用することで、地域ニーズに合った商品やサービス開発に繋げられます。
3. 住民の交流の広がり
地域通貨を使うことで、地域住民同士の交流が生まれ、地域コミュニティの活性化に繋がります。
4. コスト削減
デジタル化により、紙幣の印刷・管理・配送コストを削減できます。
5. 環境への取り組み
紙幣の発行を減らすことで、環境負荷を低減できます。
さらに、デジタル地域通貨は、地域経済、ビジネス、環境、そして地域住民の生活の質の向上など、様々な側面からメリットをもたらす可能性を秘めているため、今後も注目されるでしょう。
課題
しかし、デジタル地域通貨の導入には、以下の通りいくつかの課題が存在します。
1. 導入コスト
システム構築費、端末導入費、広報活動費など、導入にあたり一定のコストが発生します。
特に、小規模な地域や商店では、初期費用が大きな負担となる可能性があります。
2. 利用者の拡大
デジタル地域通貨を普及させるためには、地域住民への周知徹底が不可欠です。
高齢者など、デジタル機器に不慣れな層へのサポート体制も必要となります。
利用可能な店舗を増やし、利便性を向上させることも重要です。
3. セキュリティ
デジタル地域通貨は電子データであるため、不正アクセスやサイバー攻撃のリスクがあります。
個人情報の漏洩や不正利用を防ぐためのセキュリティ対策が必須です。
システムの安定稼働を確保し、障害発生時の対応体制を整えることも重要です。
4. 他の決済手段との共存
現金、クレジットカード、電子マネーなど、既存の決済手段との連携や共存が課題となります。
利用者にとって混乱を招かないよう、分かりやすい仕組みにする必要があります。
これらの課題を克服することで、デジタル地域通貨はより便利で安全な決済手段として普及し、地域経済の活性化に貢献すると期待されます。
導入事例
「よかペイ」は、福岡市が導入した地域限定のデジタル通貨です。地域の商店街や飲食店などで利用可能で、スマートフォンを使った決済が可能です。
特徴: QRコードを使ったキャッシュレス決済が主な形態で、地域ポイントとの連携もあります。福岡市内での消費促進を図り、地域経済を活性化することを目的としています。
飛騨市で導入された「さるぼぼコイン」は、地域活性化を目的としたデジタル通貨です。飛騨市内の加盟店舗で使用でき、キャッシュレス決済が可能です。
特徴: スマートフォンアプリを通じてコインの送金・受け取りができ、特に観光客にも利用しやすいシステムを提供しています。地域の観光資源と連携し、地元の商店での消費を促進する役割を担っています。
「Hashi-Mo(ハシモ)」は和歌山県橋本市のデジタル地域通貨です。この通貨は、地域経済の活性化と市内の経済循環を促進する目的で導入されました。QRコードを利用したスマートフォンでのキャッシュレス決済が可能で、橋本市内の加盟店舗で使用できます。また、特定の地域課題を解決するためのプロジェクトやイベントに参加することで、ポイントが獲得できるプロモーションも行われています。
「Hashi-Mo」の名前は、橋本市の「Hashi」と、お金を意味する英語の「Money」およびモバイルを意味する「Mobile」から取られています。これにより、地域通貨としての親しみやすさと機能を象徴しています。通貨の導入は、地域内の消費を促進し、橋本市のさまざまな店舗で利用されています。
通じて、利用者はデジタル版プレミアム商品券を購入し、市内の加盟店で使用することができます。
大垣市では、このデジタル通貨の導入を段階的に行っており、大垣市商店街振興組合連合会(市商連)がこれを支援しています。具体的には、1口6,000円分の電子商品券を5,000円で販売し、購入者はこれを市内の加盟店舗で利用可能です。この商品券は期間限定での使用となるため、利用期間の終了後は使えなくなります。
「養老Pay」は岐阜県養老町が提供する地域通貨アプリで、キャッシュレス決済や電子商品券の利用が可能です。このアプリは、地域経済の活性化とデジタル化推進を目的としており、QRコードを利用した支払いが特徴です。また、アプリには店舗情報や観光情報の閲覧機能も含まれています。
利用者は、クレジットカードやコンビニ支払い、銀行口座など複数の方法でアプリにチャージでき、養老町内の様々な店舗で利用することができます。また、養老Payはマイナンバーカードとの連携機能も備えており、さらに安全かつ便利に利用することが可能です。
養老町では、このアプリの普及を促進するために様々なキャンペーンも実施しています。例えば、特定の期間内に銀行口座からチャージすることで追加の養老Payポイントがもらえるプロモーションなどがあります。
「ちょるPay」は山口市が提供するデジタル商品券プラットフォームで、市内の加盟店でのみ利用可能です。このシステムは、市民の利便性向上と地域経済の活性化を目的としており、紙の商品券をデジタル化したものです。ユーザーはスマートフォンアプリを通じて商品券を利用でき、地域内の消費を促進することが期待されています。
利用方法としては、事前にアプリに登録し、ログイン後に支払い画面からQRコードを読み取って支払う流れになります。また、支払い後には支払用パスコードの入力が必要です。このプラットフォームは、特定の地域助成事業などでの利用が想定されており、対象となる事業や店舗でのみ使えるよう設計されています。
あなたの街でも、デジタル地域通貨が導入されるかも?
デジタル地域通貨は、まだ導入事例は少ないですが、今後ますます広がっていく可能性があります。あなたの住んでいる地域でも、すでに導入されている、または導入を検討しているところがあるかもしれません。
デジタル地域通貨を始めるには、地域住民や事業者の協力が不可欠です。地域全体で一丸となって取り組むことで、より大きな効果が期待できます。
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