未成年のSNS利用禁止は有効か?――規制と設計の視点から考える
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こんにちは、アサヒコミュニケーションズです。
近年、未成年のSNS利用を禁止・制限する法整備について、国内外で議論が活発になっています。
背景にあるのは、未成年がSNSを通じてトラブルや犯罪に巻き込まれるリスクです。
誹謗中傷や個人情報の流出、見知らぬ相手との接触による被害など、未成年を取り巻くデジタル環境の変化は、社会全体にとって無視できない課題となっています。
一方で、「全面的な利用禁止」が本当に最適な対応なのかについては、慎重に考える必要がありそうです。
年齢を詐称して利用する可能性や、成人してリテラシー不足のままSNSの世界に入ってしまうことへの懸念など、単純な規制では解決しきれない側面も指摘されています。
また、SNSは情報収集やコミュニケーションといったポジティブな役割も担っており、その利点をどのように生かしながらリスクを抑えるかという視点も欠かせません。
今回は、未成年のSNS利用禁止をめぐる議論について、国内の現状と論点をまとめてみました。
諸外国と日本の取り組みの違い
諸外国では、年齢確認の厳格化や保護者同意を前提とした利用制限など、段階的な規制が進められている例が見られます。
象徴的なのがオーストラリアで、2025年12月に世界で初めて16歳未満のSNS利用を原則禁止する法律が施行されました。
X、Instagram、YouTubeなど主要プラットフォームに対して、未成年のアカウント作成を防止する義務が課されているとのことです。
この動きは各国に波及しており、フランスでは15歳未満の利用を禁じる法案が可決され施行が検討されているほか、スペインなど欧州でも16歳未満の利用禁止について政策議論が進んでいます。
また、ドイツやEU圏でも法的な年齢制限導入を求める提案が相次ぎ、地域全体で規制強化の流れが見られます。
一方、日本では事業者の自主的な取り組みや注意喚起に依存する部分が大きく、法制度としての介入は限定的でした。
この違いは、未成年保護を「利用の可否」で線引きするのか、「利用の仕方」を設計するのか、という発想の差とも言えます。
「リスク」への接触機会
SNSの特徴は、年齢や立場を越えた接触が容易に生まれる点にあります。
学校や地域などのコミュニティでは起こりにくい出会いが、タイムラインやDM、コメント欄を通じて日常的に起きます。
これは情報や価値観に触れる機会を広げるという意味では大きな利点です。
利点である一方で、不特定多数とつながれる構造そのものが、未成年に望ましくない接触の機会を増やしてしまう側面も否定できません。
悪意のある相手に限らず、距離の近い関わりや、本人が意図しない形での接触(絡まれる、晒される、誘導される)も起こりやすいからです。
そのため個別の事例を強調することよりも、「接触の設計」がリスク量を左右する、という構造的な視点が重要です。
どんなに注意喚起をしても、接触の入口が多く、偶然の遭遇が起こりやすい設計であれば、リスクは一定の確率で発生します。
つまり「危ない人がいる」だけではなく、「危ない接触が起こりやすい形になっていないか」が問題なのではないでしょうか。
接触を減らすという発想―クローズドSNSという選択肢
そこで注目したいのが、接触範囲を限定するクローズド型SNSです。
参加できる人を招待制にしたり、同じ学校・同じコミュニティの範囲に閉じたり、DMや検索・おすすめ表示を制限したりすることで、偶発的な接触を減らす発想です。
まず「知らない相手に会いにくい」設計に寄せることで、被害につながる入口を絞り込めます。
利用禁止か全面開放かの二択ではなく、「誰と、どこまでつながれるのか」を制御することで、リスクを抑えつつコミュニケーションの価値を残すという考え方です。
年齢層や関係性ごとに設計された空間は、法規制とは別のアプローチとして、一定の効果が期待できそうです。
加えて、運営側が「見守り」や「通報対応」を前提に設計しやすくなる点もメリットです。
さいごに
未成年のSNS利用をめぐる議論は、感情的になりやすいテーマですが、重要なのは制度の方向性と設計の選択肢を冷静に見極めることです。
利用禁止という強い措置だけでなく、接触の構造をどう設計するか――
その視点を持つことで、より現実的で持続可能な対策が見えてくるのではないでしょうか。
