こんにちは、アサヒコミュニケーションズです。
先月になりますが、3月8日は「国際女性デー(International Women’s Day)」でした。国際女性デーは、女性の社会参画と地位向上の日として国連によって制定されました。
SDGs目標5にも「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う」が掲げられ、さまざまな場面において女性活躍を後押しする取り組みが行われる中、女性が働きやすい環境整備をする企業も増加しています。
イギリスの経済雑誌エコノミストは、先進国を対象とした女性の働きやすさの最新ランキングを公表しましたが、日本はなんと29カ国中28位。ワースト2位という結果に…。
今回は、現在の女性の労働状況、女性が働きやすい環境、ランキング上位の北欧の例等をリサーチしてみました。
女性が働きやすい国ランキング
OECDに加盟する29ヶ国の中28位です。ランキング10位までを見ると9位にニュージーランドが入っていますが、その他は北欧となっています。アメリカは18位、イギリスは20位です。
ランキングは、男女間の賃金格差や女性の管理職の割合など、10の指標に基づいています。
最下位は韓国で、日本と韓国は2016年から同じ順位にとどまっています。
エコノミストは「日本や韓国は、女性が家庭かキャリアかを選択しなければならない状況が続いている」と分析しています。
家庭かキャリアかの選択については、ひと昔と比べれば大分改善されてきたように思いますが上位国と比べると比ではないということでしょう。
日本人女性の働き方満足度は?
2022年2月に、Job総研が 国内20代~60代の男女約600人を対象に「2022年 働く女性実態調査」を実施しています。
引用元:「Job総研 「2022年 働く女性実態調査」https://job-q.me/articles/13455
全体の働き方満足度は「とても満足」が22%、「やや満足」が37%と、全体の約60%を占めています。
では、男女別ではどうでしょうか?
引用元:「Job総研 「2022年 働く女性実態調査」https://job-q.me/articles/13455
男女別で見ますと、「とても満足」は男性28%に対し女性14%と約半分となっています。全体では60%が満足と回答しているのに対し、男女別の回答を見ると男女間で格差があることがわかります。
男女別満足の理由
引用元:「Job総研 「2022年 働く女性実態調査」https://job-q.me/articles/13455
満足の理由について、男性「在宅ワークなど多様な働き方ができる」が43%、女性「休暇日数が多い・休暇を取りやすい」が約半数の48%を占めています。
女性にとって、休暇の取りやすさが働きやすさの満足度に繋がっていることがわかります。
女性が働きやすい職場環境整備が整っているか?
引用元:「Job総研 「2022年 働く女性実態調査」https://job-q.me/articles/13455
続いて職場環境の整備について、「整っている」32%、「どちらかといえば整っている」44%と全体では75%と高い数字が出ていますが、男女別回答では、「整っている」が男性42%に対し女性「21%」とここでも男女で認識の格差があることがわかりました。
職場で女性が不利と感じた経験やその理由は?
引用元:「Job総研 「2022年 働く女性実態調査」https://job-q.me/articles/13455
職場で女性が不利と感じた経験「ある」の回答が29%「ない」が50%と「ない」が全体の半数を占めていますが、男女別でみると、「ある」の回答が男性19%に対し女性40%、「ない」が男性58%、女性40%と感じ方に大きな差があることがわかりました。
引用元:「Job総研 「2022年 働く女性実態調査」https://job-q.me/articles/13455
職場で女性が不利と感じる理由について、「キャリアビジョンを描きにくい」が29%、「出世が難しい」が28%、「給与・待遇に差を感じる」が25%となっています。また、「出産後に仕事を続けにくい」が17%、「結婚後に仕事を続けにくい」が12%、「結婚しにくい環境である」が8%と、結婚・出産に絡んだ悩みも未だ多くあることがわかります。
「2022年働く女性実態調査」では、現在の働き方に満足していると全体の59%が回答したのに対し、男女別では働き方に「とても満足している」が男性28%、女性14%と回答したことから、男女間での認識の差が大きくあることがわかりました。
また、職場で女性が不利だと感じたことはないと、全体では5割回答したのに対し、男女別回答では女性の4割が不利と感じた経験があると回答しました。その理由として最も多かった「キャリアビジョンを描きにくい」との回答から今後の将来性に対する不安が見受けられました。
引用元:「Job総研 「2022年 働く女性実態調査」https://job-q.me/articles/13455
「スウェーデン」は女性が働きやすい国ランキングトップ
ランキング上位にある北欧各国の働き方を見ていきます。
スウェーデンでは、専業主婦はたったの2%だと言われています。 なんと、88%の女性が就業しているのです。そのうち企業に務める女性管理職は27%という高割合で、ほとんどが女性が出産を経験した後にも、キャリアを形成しています。
スウェーデンでは育児休暇中の手当も充実していて、夫婦で合わせると、480日もの有給育児休暇を取得することができ、休暇中の390日間は休暇前の80%の給与が支払われるという仕組みになっています。
一般的に、男女平等に「家事・育児をシェアすることが当たり前」という考えも普及しているため、有給を上手に活用することができるのです。また、新しく子どもが生まれれば、育児休暇が増えるという仕組みもあるので、出生率も高くなっています。
長く働くなら好きな仕事でなければ続かない。 だからこそ「好きな仕事」をすることにこだわりが強く、転職を繰り返すことが多い反面、「好きな仕事」にめぐり会えたときには、キャリアを積み重ねて管理職になる方が多いのです。
スウェーデンは税金が高い反面、手厚い社会保障や教育が賄われており、女性も男性も働きやすい社会となっています。
そして、過去25年間で、国政選挙の投票率が80%を下回ったことは一度もないのです。従って、政府への信頼度が高く、またその税金を決めているのは国民であるという意識が強いようです。社会がより良くなるのであれば、さらに高い税金を払っても構わないという人もいます。
フレックス勤務、一日6時間勤務が一般化されつつあったり、有給休暇は週単位で取ることになっていたりと働いていた方が幸福感を得られる社会の仕組みが出来上がっていることも要因の一つと言えそうです。
女性が声を上げて世の中を変えた「アイスランド」
アイスランドはスウェーデンと共に女性が働きやすい国1位2位を競う国です。加えて、男女平等ランキングでは10年連続世界1位、首相は女性、女性国会議員の比率は38.10%で、授乳をしながら国会に出席した議員もいます。また、女性だけの政党もあります。
過去の歴史を見てみると、この国では「女性が声を上げる」ことで、世の中を変えてきました。1975年には、なんと働く女性の9割が「仕事・家事・育児のストライキ」を敢行しました。男性たちは仕方なく、職場に子どもを連れて行き、慣れない食事をつくるなどてんてこ舞いでしたが、おかげで仕事・家事・育児で女性がいかに重要な役割を担っているかを認識させることができました。
また2016年には男女の賃金格差(3割)をなくすため、「女性の労働時間3割減を求めるストライキ」を行っています。こういうことの成果として、企業役員の4割を女性にするためのクオータ制や、男性の育児休業取得率74%などを達成してきたのです(日本男性は5.14%)。
パートでも正社員でいられる「オランダ」
ランキング上位ではありませんが、オランダは面白い取り組みをしています。
オランダは男女平等に強くこだわりすぎていません。そしてそれが、逆に女性の社会進出の支えになっています。
共働きを考える場合、「夫と妻で合わせて2倍」の所得を得ようとすると、どうしても無理があり、最終的に家庭か制度が破綻します。だからオランダは「合わせて1.5倍」をめざし、残りの0.5を、家族のために費やします。そして、その比率は、別に「男1:女0.5」である必要はありません。半々でもいいし、逆でもいい。
これらを支えてくれる制度が「短時間正社員制度」です。日本だとフルタイム労働者か否かだけで「正社員orパート」にされてしまいますが、オランダではパートタイム労働でも正社員でいられ、正社員としての各種保障が受けられます。オランダは、こういうやり方でワークシェアリング大国になったのです。
さいごに
北欧と日本を比べてみると、「こういう働き方には憧れるけど、日本では難しそう……」と思ってしまいますが、北欧の女性たちが働きやすい環境にあり、また人々の幸福度が高いのは、昔からだったわけではありません。 むしろ90年代までは、今の日本と抱えているような問題も多くありました。しかし、働き方改革などを進めることにより、幸福度の高い今があるようです。
働きやすい=幸福度が高い
と言えるのではないでしょうか。
日本でも社会の環境が変わることで北欧のようになることは不可能ではないですよね。国・企業・個人での意識の改革が進み、幸福度が高く、女性が働きやすい国になることを願いたいですね。そろそろワースト2位から脱したいですね!
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