
こんにちは、アサヒコミュニケーションズです。
近年、急速に広がりを見せているシェアリングエコノミー。モノや場所、スキルなどを共有することで、新しい経済の形を生み出す仕組みです。
今回は、シェアリングエコノミーの基本的な概念、具体的な事例、メリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。
シェアリングエコノミーとは?
シェアリングエコノミーとは、個人間でモノや場所、スキルなどを共有し、対価を得る経済活動です。インターネットの普及により、個人が簡単に情報を発信し、取引できるようになったことが背景にあります。
従来の経済活動では、企業がモノやサービスを所有し、消費者に販売していました。しかし、シェアリングエコノミーでは、個人が余剰資産を有効活用することで、新たな収入源を得ることができます。
市場規模

出展:【シェアリングエコノミー市場調査 2022年版】市場規模は過去最高の「2兆6158億円」を記録し、2032年度には「15兆1,165億円」に拡大予測。 https://sharing-economy.jp/ja/20230124
2023年1月、シェアリングエコノミー協会と情報通信総合研究所が共同で実施した調査によると、2022年度の国内シェアリングエコノミー市場規模は2兆6,158億円となり、前年度比19.6%増と過去最大規模を更新しました。
このうち、宿泊予約サービスが4,483億円と全体の約17%を占め、最も大きな割合となっています。次いで、フードデリバリーサービスが3,032億円、カーシェアリングサービスが2,385億円と続きます。
シェアリングエコノミー市場は、今後も拡大していくと予測されています。矢野経済研究所によると、2030年には最大14兆2,799億円まで達すると予想されています。
シェアリングエコノミー市場の拡大を後押ししている要因としては、以下のようなものが挙げられます。
スマートフォンの普及による情報収集や決済の利便性向上
働き方改革や副業解禁による個人の自由な時間とスキルの活用
環境問題への意識の高まりによるモノやサービスの共有化
コロナ禍における巣ごもり需要の増加
シェアリングエコノミーは、個人と個人を繋ぎ、新しい経済の形を生み出す仕組みです。今後も、様々な分野で新たなサービスが登場し、市場規模はさらに拡大していくことが予想されます。
シェアリングエコノミーの代表的な事例
シェアリングエコノミーには、様々な事例があります。以下に、代表的なものをいくつかご紹介します。

出展:【シェアリングエコノミー市場調査 2022年版】市場規模は過去最高の「2兆6158億円」を記録し、2032年度には「15兆1,165億円」に拡大予測。 https://sharing-economy.jp/ja/20230124
空間(スペース)をシェアするサービス
Airbnb(エアビー)
Airbnb Japan株式会社が運営するAirbnb(エアビーアンドビー)、通称エアビーとは、世界191カ国以上で利用されている画期的な民泊サービスです。
このプラットフォームは、空いている部屋や使っていない家を収入源に変えたいホスト(民泊運営側)と、ホテルではなく個性的な宿泊体験を求めるゲスト(宿泊者)を結びつける役割を果たします。
SPACEE(スペイシー)
株式会社スペイシーが運営する「SPACEE(スペイシー)」は、貸し会議室・レンタルスペースを簡単に貸し借りできるWebサービスです。使用していないオフィスの貸し会議室やレンタルスペース、営業時間外の飲食店といったスペース(空間)と、それを利用したい人をマッチングさせる典型的なシェアリングエコノミーサービスです。
利用者は、1時間当たり100円からという格安価格でスペースを予約し、会議・ミーティング、作業、セミナー、習い事など、さまざまな用途で使うことができます。2013年の設立以降、働き方改革の推進とともに伸びていたサービスですが、ニューノーマル時代になって、テレワークやWeb会議ができる場所として借りる人が増えているといいます。
ADDress(アドレス)
「ADDress」は定額制の全国住み放題サービスです。株式会社アドレスが全国各地で管理運営している家に、光熱費混みで月額4万円から居住することができ、サービス利用中は何度でも移動することができます。インターネット環境や家具などの生活に必要なものはすべて備えられており、家族は無料で同伴可能。遊休資産と地方に住んでみたい利用者をマッチングするシェアリングエコノミーに、サブスクリプション型の利用方法を導入している点が特徴です。
「ADDress」も、コロナ禍でテレワークが増えた影響で注目を集めたサービスのひとつです。従来はフリーランス中心に利用が進んでいましたが、コロナ禍以降は会社員の利用を増やしています。都会を離れた新しい暮らしや多拠点生活を求める人が増えるなかで、今後も注目度は高まっていくでしょう。
モノをシェアするサービス
メルカリ
2013年にサービスを開始したフリマアプリ「メルカリ」も、シェアリングエコノミーサービスの一種です。誰でも簡単に不用品を売り買いできる手軽さに加え、支払いトラブルを回避する独自の決済方法や匿名配送といった利用者が安心して使えるシステムが高く評価され、急成長を遂げました。日本のベンチャー企業である株式会社メルカリが運営しています。現在では、アメリカでも事業展開しています。
もともと成功をおさめていたサービスですが、ニューノーマル時代を迎え、自宅にいる時間が長くなったことで、部屋の整理や不要品の処分方法として「使いたい人に譲る、売る」という行動が促進されたこと、また、不要不急の外出を控えるために買い物に行く機会が減ったといったことから、さらに新規利用者や既存会員の利用回数が増加しました。このような状況から、海外での展開も含め、今後も市場拡大が期待されています。
airCloset(エアークローゼット)
株式会社エアークローゼットが提供する女性向けの洋服のレンタルサービス「airCloset」。プロのスタイリストが利用者の属性や好み、悩みなどにあわせて服を選んでくれる点が画期的で、忙しい働く女性のニーズを捉えて注目を集めています。シェアリングエコノミーサービスでありながら、支払いは月額定額制というサブスクリプション型を採用している点もポイントです。
料金プランには「ライトプラン」「レギュラープラン」「プラスサイズ」の3タイプあり、一度に発送される洋服はそれぞれの料金タイプによって異なります。例えばライトプラン(月額6,800円税抜)なら月3着ですが、返却期限はなく、返却をすればまた別の3着がクリーニングをすませた状態で送られてきます。レギュラープラン(月額9,800円税抜)なら、アイテムの交換回数は無制限です。それぞれのプランで気に入った服があれば、レンタル利用後に購入することも可能です。
ドレスや着物などのレンタルサービスはイベントの減少に伴って需要が落ち込んでいる業態ですが、「airCloset」をはじめとするサブスクリプションサービスは、好調に会員数を伸ばしています。感染を懸念して多くの人が外出を控えるなかで、家にいながら自分に似合うファッションに出会える方法のひとつとして支持が広がっているようです。
移動手段をシェアするサービス
Uber Eats(ウーバーイーツ)
「Uber Eats」は、前出の通りウーバー・テクノロジーズが提供するフードデリバリーサービスです。アプリやWebサイトから「Uber Eats」に登録している飲食店のメニューを注文すると、ドライバーがマッチングされ、注文した食事が配達されるというシステムです。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、特に2020年4月の緊急事態宣言以降にニーズが急増しました。今や都市部では、街中で「Uber Eats」のドライバーを見かけない日はないほど普及しています。運営するウーバー・テクノロジーズはアメリカの企業ですが、現在では世界各国で事業を展開しています。
dカーシェア
ドコモが提供するカーシェアリングサービス、dカーシェア。
複数のカーシェアサービスのなかから、空いているクルマをすぐに検索、スマホひとつで利用できるdカーシェア。複数の社員が使った分を一括請求書で支払うことができます。
管理画面で利用状況のチェックも可能。「働き方改革」の推進、コスト削減実現のため、導入される企業が増えています。
dカーシェアは初期費用・月額利用料無料。使った分だけのご請求なので経費のムダがなくなります。駐車場など維持費の節約にもなり、社用車(リース契約)よりオトクになることも。
スキルをシェアするサービス
タスカジ
株式会社タスカジが運営する「タスカジ」は、家事を依頼したい人とハウスキーパーをマッチングさせるスキル系のシェアリングエコノミーサービスです。共働き世帯の増加や核家族化を背景に、近年、注目を集めていたサービスですが、臨時休校やリモートワークの増加によって人々が自宅で過ごす時間が増えたことで、新たなニーズが生まれています。
ストアカ
「ストアカ」は、教えたい人と学びたい人をWeb上でマッチングさせるサービスです。受講できる講座のジャンルはビジネススキルをはじめ、デザイン、英語、料理、スポーツなど多岐にわたります。本来は講師と利用者がリアルに対面して行うサービスですが、運営会社であるストリートアカデミー株式会社は、ニューノーマルに対応するため、対面限定としていたルールをオンラインでも可能と変更。巣ごもり需要が高まるなかで、家にいても興味のあるジャンルについて学べるサービスとして人気を集めました。
クラウドワークス
株式会社クラウドワークスが運営する「クラウドワークス」は、オンラインで在宅ワーカーと仕事の発注者をマッチングする「クラウドソーシング」と呼ばれるサービスの代表格です。募集されている仕事は、ライティング、デザイン、サイト制作、データ入力といったPC作業が中心です。
もともと働き方の多様化が進むなかで注目されていたサービスですが、コロナ禍でサービス業のような対面の業務が減ったことで、主に非正規雇用の人たちが収入を得る手段として、クラウドソーシングのニーズはますます高まっています。テレワークになった会社員が副業としてはじめるケースも少なくないようです。
お金をシェアするサービス
お金をシェアするサービスの代表格といえば、クラウドファンディングサービスです。クラウドファンディングとは、プロジェクトの発案者がインターネットを介して支援者から資金を集める仕組みで、完成した商品やサービスが支援者に提供される購入型と、品物や金銭などのリターンのない寄付型の2種類があります。
Makuake(マクアケ)
株式会社マクアケが運営する「マクアケ」は、購入型のクラウドファンディングサービス。さまざまなジャンルを扱っていますが、特に日本企業の商品開発支援に力を入れていて、大企業の利用も少なくありません。コロナ禍以降は、売り上げが落ち込んだ企業がクラウドファンディングを利用して再起を図るケースも多く、マクアケにもこれまで以上に注目が集まっています。
READYFOR(レディーフォー)
READYFOR株式会社が運営する「READYFOR」も、日本有数のクラウドファンディングサービスのひとつ。購入型プロジェクト、寄付型プロジェクトの双方を扱っていて、社会課題を解決しようとするプロジェクトが目立つのが特徴です。
新型コロナウイルス流行以降、売り上げ減に苦しむ飲食店や音楽、演劇などのエンターテインメント関係者、過酷な医療現場で働く医療従事者への寄付や応援をしたいというニーズが急増し、自宅にいながら社会貢献できるクラウドファンディングの人気が高まりました。特にREADYFORでは、感染症に立ち向かうプロジェクトやコロナ禍の影響で苦境に陥っている人を支援するプロジェクトを多数扱っています。
メリット・デメリット
メリット
シェアリングエコノミーには、以下のようなメリットがあります。
消費者: より低価格でモノやサービスを利用できる。
提供者: 余剰資産を有効活用し、収入を得られる。
社会: 環境負荷の低減、地域の活性化などに貢献できる。
デメリット
シェアリングエコノミーには、以下のようなデメリットもあります。
トラブル: トラブルが発生した場合、責任の所在が曖昧になる可能性がある。
法規制: 新しいビジネスモデルであるため、法整備が追いついていない場合がある。
セキュリティ: 個人情報漏洩などのリスクがある。
シェアリングエコノミーの今後
シェアリングエコノミーは、今後も成長していくことが予想されます。インターネット技術の発展や、個人の意識の変化などが要因と考えられます。
今後、シェアリングエコノミーはさらに多様な分野に広がり、社会に大きな影響を与える可能性があります。
まとめ
シェアリングエコノミーは、個人と個人を繋ぎ、新しい経済の形を生み出す仕組みです。メリットとデメリットを理解した上で、賢く利用したいですね。シェアリングエコノミーは、今後ますます発展していく可能性があります。最新情報を常にチェックし、積極的に活用していきましょう。
参考情報
シェアリングエコノミーとは?その概要と事例について解説|ビジネスブログ - ソフトバンク https://www.softbank.jp/biz/blog/business/articles/202101/sharing-economy/
シェアリングエコノミーとは?仕組み、事例、メリット・デメリットを解説 | ビジネスガイド https://www.seraku.co.jp/tectec-note/industry/about-sharingeconomy/
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