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きびしい?ゆるい?映画鑑賞マナー


こんにちは、アサヒコミュニケーションズです!


映画館におけるマナー違反の話題を目にすることがあります。

上映中の私語、スマホ操作、持ち込み飲食など…。

映画の鑑賞料金も値上げされ、消して安くないお金を払って観に行っているのに、他の鑑賞客のマナーのせいで映画に集中できなかった、なんてことがあったら、がっかりしますよね。

マナー違反は非難され、トラブルなどの原因にもなりうる行為ですが、そもそも映画館における「マナー」とはどのように形成されたのでしょうか。


調べてみると、かつて大衆的でもっと自由だった映画館の変化が背景にあることがわかりました。


「大衆娯楽」としてのかつての映画館

戦後から高度経済成長期にかけて、映画館は「庶民の娯楽の王様」と呼ばれました。

入場料は今より安価で、座席は自由席が基本。

二本立てや三本立ても当たり前で、喫煙や飲食も広く許容されていました。

映画館は、学校帰りの若者から労働者、主婦に至るまで、誰でも気軽に立ち寄れる「公共的な娯楽空間」でした。


・料金の安さ(入場料のみ)

・座席指定なし

・タバコOKの映画館も

・出入り自由、飲食もOK


具体的に、数百円台の入場料で映画館に入れて好きな作品をいくらでも見ることができるシステムだったようです。

また、席も自由で、2000年以前のジブリ作品など人気作では立ち見もありました。

お弁当を持参して1日中いることもできたようです。

映画館=気楽な大衆娯楽の空間だったようです。


「大衆娯楽」から「上質体験」へ

しかし現在の映画館は、座席予約制や高額化、4DXやIMAXといった高付加価値設備、プレミアムシートの導入などによって、むしろ“体験型のラグジュアリー空間”へと進化しています。


その背景には3つの要因が考えられます。


①家庭娯楽の普及

テレビ、レンタルビデオ、そして近年では配信サービスの登場により、「映画は家で見るもの」という選択肢が強まった。その結果、映画館は「わざわざ出かけて行く価値」を創出する必要が生じました。


②観客数の減少と収益モデルの転換

来場者が減る中で、映画館は「客単価を上げる」方向へ。静かに鑑賞したい層やカップル、映画愛好家をターゲットに、高価格でも納得できる体験を整備してきました。


③文化施設としての自覚

映画館が単なる娯楽提供の場から、芸術・文化を享受する空間として自らを位置づけるようになり、マナーやルールが強化されました。

 





こうした変化は必然でもありましたが、同時に観客の間でギャップを生み出しました。

かつての自由な映画館を知る世代からすると、現在の映画館は「窮屈すぎる」と感じられるのかもしれません。

逆に、配信等での鑑賞が身近で映画館に行ったことがない若い世代が、鑑賞マナーを知らないということもあるようです。



上映形態の多様化・映画館のコンセプト設定という可能性

このギャップを解消する手段として、上映形態の多様化が考えられます。

実際に一部では「親子上映」「応援上映」「静音上映」といった試みが行われていますが、一館で複数のコンセプト上映を併存させると、運営や観客の混乱を招きやすいといった課題もあります。

そのため、「映画館ごとにコンセプトを分ける」という方向にシフトしていくのではないかと考えます。

地方館はファミリーやライト層に開かれた緩やかな娯楽空間として、都市部の館は落ち着いた雰囲気や特別体験を提供する文化施設として。

それぞれが役割を担い、観客が選択できる環境を整えることが、持続可能な映画館文化をつくるのではないでしょうか。


まとめ

映画館のマナー問題は、単なる「マナーの良し悪し」の話ではなく、映画館という場がどのように社会の中で位置づけられ、誰をターゲットに進化してきたかを映し出しているようです。

「大衆娯楽」から「文化的体験」へ、変化の過程で生じる摩擦をどのように調整するか。

今後は“画一的なルール”よりも、“多様な上映形態”と“映画館の役割分担”が、課題解決の鍵を握るのかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございました!




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